株式会社 造家工房  亀井俊博

住まい手、作り手、素材、風土に寄り添う大工でありたい

家づくりを進める上で 住まい手、作り手、素材、風土に寄り添う大工 にならなければいけないと考えています。そして、徐々にそういう大工になってきていると私自身感じています。
造家工房の家づくりの特徴である伝統構法と土壁は私の中の揺るぎない建て方ではありますが、大切なのは 『住まい手の求めるものに合うようにする』 こと。住まい手の ”こういう家にしたい” という要望を引き出し、これまでの経験を活かして住まい手にとって一番の家になるような提案をしたいと思っています。さらに図面だけでは出来上がりのイメージが難しい造作などは、住まい手が分かりやすいよう工事中に相談をすることも寄り添う大工工務店ならではの良さだと考えています。

家は住みやすさやデザインだけではない

家はただ単に住みやすいだけではなく、耐久性があり災害にも強い家でなければいけません。
最近、日本の気候風土を無視した家づくりをよく目にします。「軒」がない家。そんなデザインにばかりこだわった家が ”良い家” と呼べるのでしょうか。

設計ができる大工としての喜び

今まで大工をしてきて良かったことは、自分が満足していて住まい手も喜んでくれた家が何十棟と建ててこれたことでしょうか。設計ができる大工としては建築家のように独創的な建築もしてみたい気持ちはありますが、やはり寄り添う大工として住まい手に喜んでもらえる家を創り続けていきたいですね。

自社で若手大工を育てる

大工の減少、高齢化、技術力の低下は大きな問題。今後、古民家や社寺の仕事ができる大工はもっと少なくなっていくでしょうね。造家工房では大工技術継承のため「のぼの大工塾」の開催や、自社の若手大工への教育に力を注いでいます。

昔のように「見て技術を盗め」という時代は終わり、今は教えてもらうことで真面目に覚えようという時代になりました。弊社でも入社後1年間は私の元についてもらい大工としての理屈を伝えています。基本的に理屈というのは自分が色んな経験をした後に身に付くものですが、それを先に教えてあげると自分が作業をする時に思い出すようになります。すると今のやり方のどこがダメなのか、どう対処したらいいのかを発見できるようになるんです。ただ、発見ができるようになっても技術が追い付いていないので、ひたすら練習しなければいけませんが。(笑)

また、私が見習い大工だった時は古い社寺を解体・改修する仕事で先人の仕事をたくさん見て、我流で勉強をしていました。古い社寺が本当の親方という感じ。当時見たものは自分の技術の基本としてしっかり蓄積されていて、新しい建築へ挑戦する時には「昔見た仕事を応用したらできそうだ」と解決策がポンポン出てくるんです。これも技術や知識が蓄積されているからこそですね。そのため、古い建物を解体する機会があった時には、造家工房の若い大工たちを積極的に参加させています。私のように先人の大工と対話ができるようになってくれたら…と思います!
2年目からは現場に出して、先輩大工のもとで色んな経験をしてもらいます。ここからは1年間で教えきれなかったことを、どれだけ私に聞いてくれるかが重要ですね。技術を継承させてほしいです。

子どもの頃に自宅を建ててくれた大工さんが影響してか、四日市工業高校の建築科に進みました。よくある話ですよね。(笑)
その時の、クラス担任の薦めで社寺を専門とする小島建設に入社しました。大工としての自分を作ってくれた場所で、「入って良かった」と思っています。

亀井俊博(かめい としひろ)プロフィール
株式会社 造家工房(ぞうかこうぼう)代表取締役 大工歴40年
昭和39年四日市市生まれ、四日市市在住。 趣味は渓流釣り、バイク鑑賞(笑)
2級建築士、古民家鑑定士1級、建築大工基幹技能者、既存住宅現況検査技術者、
被災建築物応急危険度判定士、伝統防除技士
<株式会社 造家工房ホームぺージ> https://zouka.net/